中畑 清
80年代のジャイアンツを牽引した史上最強の“絶好調男”中畑 清
実名の選手を駆使して最強のチームを結成し、プロ野球の世界を体感できる「プロ野球チームをつくろう!」シリーズの最新版が、PCオンラインゲームとなって登場!よりリアルにより深く、そしてより楽しくなった「野球つく」の世界を、毎月一人ずつ、実際のプロ野球の世界で活躍されたOBの方に、チャレンジしていただくこととなった。
記念すべき第1回に登場するのは、80年代の巨人、いや球界のリーダーとして絶大なる人気を集めた“ミスター絶好調”中畑清氏。アテネで全日本を率いた中畑氏が選ぶ、チームの顔にふさわしい男とは?
「野球つくONLINE」を実際にプレーされて、いかがですか?
- 中畑
-
いやぁ、ビックリした。ゲームの世界もどんどんリアルになっている。
現実と同じような、「えっ、ホント!?」と驚くような感覚になってきていますね。
オレなんかは実際にプレーしてきた人間だから、こういうバーチャルな世界が、
一般の野球好きな人たちにどう受け止められるのか、とても興味がありますよ。
オーナーであり、監督であり……という世界を体験できます。
- 中畑
- いまはもうある意味、ファンが一人の監督であり、経営者であると思うんです。
実際、ファンと話をしても、プロフェッショナルな意見を持っている。
それぐらい、日本の野球熱は高いんですよ。
でも「野球つくONLINE」では、自分が作ったチームでリアル体験できるから、
そっちに夢中になりすぎて、現実のプロ野球を見なくなっちゃったら困るよね(笑)。
逆に、より現実の世界を真剣に見てくれると思います。
自分のチームに所属する選手の動向は気になると思いますし、テレビ中継を見ながらでも進められます。
- 中畑
- そうあってほしいね。それにランダムで実在の選手を獲るわけでしょう。
普段、応援しているチーム以外の選手をここで知って、現実のその選手を応援してもらえるようになれば、
それはとてもいいことです。
これまではスター選手を揃えて、強くなるというゲームが多かったと思うけど、
これなら自分の中の生え抜き選手を育てて、強い選手、チームにしていく。
いままでのゲームとはそこが大きく違うね。
「野球つくONLINE」では、実際の成績が反映されます。
例えば、開幕後に大躍進した若手がいたとします。
昨年のデータではやや低めに設定されているのが、その活躍を受けてより現実に近くなるよう、修正データが定期的に配信されるんです。
- 中畑
- なるほど。基準値がより現実的に更新されるわけだ。
さらに自分で育てていくから、別の人が同じ選手を保有していても、能力に差が出る。
そういう意味でも、ゲーム全体が生きているよね。
ただ遊ぶ、ただ結果を見るだけではなく、本当の監督やオーナーになった気分が味わえる。
ですから、実際のプロ野球の成績も気になると思います。中畑さんは現役時代、ご自身の数字を気にされたほうですか?
- 中畑
- 数字は後からついてくる、という考え方でやっていましたよ。
そうしないと体が動かないというか、数字だけ気にしてしまったら、自分らしさを出せない、そんなタイプ。
確かに数字というのは結果として分かりやすいものだけれど、数字に表れないものが野球にはたくさんあるんです。
そのときの状況であったり、対戦相手、場面ごとのさまざまなこと……。
そうですね。とっさの判断などはプレーに大きく影響しますし。ただ、試合中にもスコアボードに打率などが出ますよね。
- 中畑
- あれは選手も気にします。というより、嫌でも気になる。どうしたって視界に入っちゃうんだから(笑)。
調子が良ければいいけど、打率が2割そこそこで絶不調のときなんて
「あの数字、消してくれ」って、選手はみんな思う。
オレらの時代ぐらいからなんだよね、掲示されるようになったのは。
スコアボードが電光掲示板になってからですよ。選手からしたらキツイ。
数字とそのときの調子とは、また別物ですからね。
- 中畑
- 調子というのは、その日だけのものもあるし、毎日、毎打席でも変わるもの。
これまでは打てていたボールなのに、たった一球を空振りをして、それで長いスランプに突入したり、
どんなに練習しても糸口すら見えなかったのが、一球で克服したりする。
その日にしかない、その一球にしかないポイントがあるんです。
本当はそういう部分まで見抜ければ、より楽しいんですけどね。
結果だけ見ればポテンヒット。
でも、そこできっかけをつかんで、一気に急上昇……なんてことがあるんですよ。
そこもゲームに反映されたら面白いね。
参考にさせていただきます!逆に、この「野球つくONLINE」では、プロ野球では採用されていない、
ポスティングやサラリーキャップ制度などがあります。
- 中畑
- そこがまた、のめり込んじゃう秘密でしょう。
プロ野球、メジャー・リーグなどのいろんないい要素が、この中には詰め込まれている。
そういう意味では理想型ですよ。実際にプロ野球にサラリーキャップやポスティングがあれば、
戦力が偏りづらくなる。
ゲームの中でも、この選手が絶対に欲しいと思っても、ポスティングだから必ず獲れるわけではない。
そういう厳しい制約もあるからこそ、面白いんですよ。
思い通りばかりに進んだら、簡単すぎてすぐ飽きちゃうもんね。
野球はルールある競技。ルールがあるから難しく、難しいから面白い。それと一緒です。
中畑さんならこの「野球つくONLINE」でどういうチームを作りたいですか。
- 中畑
- とにかく勝つことに重点を置く場合と、こんなチームで戦ってみたら……という場合と、両面ある。
全員が四番バッター、長距離砲を揃えて戦ってみたら、どういう結果になるのか。
もしかしたら負け越しちゃうんじゃないかっていうぐらい、豊富なデータが詰め込まれているわけでしょう。
だから試したい思いはあるな。
確かに興味深いですね。
- 中畑
- でもやっぱりオレは、頂点に立つチームを作りたいな。
アスリートは誰もが一番になりたいんですから。
野球は基本が大事だから、大きいのを打つ選手もいれば、送ったり機動力を使える選手も必要。
アテネ五輪のアジア予選を戦ったチームのようにバランスがとれた陣容が理想です。
その一方で、自分が監督をしたときに、どういうチームがお客さんに喜ばれるのか実験してみたいとも思う。
だってこれなら負けが続いても、監督をクビにはならない(笑)。
その通りです(笑)。
- 中畑
- オレは「この選手を使う」と決めたら、とことん起用し続けたいタイプ。
ゲームでも最初、八番ぐらいしか任せられないような選手を、
とことん育てて四番を任せられるように成長させたいんですよ。
それでもダメだったら納得いく。あとはもう、監督のオレをクビにしてくれってね!
なりません(笑)。では、同郷の福島出身選手ばかり集めましょうか?
- 中畑
- いやぁ、そうしたらみんなが福島弁になっちゃうから、何を言ってるか周囲が分かんなくなっちゃうよ。
ブロックサインの必要がない……。
- 中畑
- おいおい! 福島弁ったって、日本語なんだからそれぐらいは分かるよ!
失礼いたしました(笑)。
- 中畑
- やっぱり勝つためだったら、まず守りを強化するね。
投手力、バッテリーをしっかり。
その次にくるのは ……能力? いや、オレは人間性を選びます。
どんなに野球の実力があったとしても、
揃いも揃って「オレが、オレが!」って選手ばかりだと、チームは成り立ちません。
フォア・ザ・チームという意味をしっかり理解し、
最高の自己犠牲を払えて、チームのために戦える選手がいるチーム。
そういう意識が結集したとき、初めてチームの力は本物になるんですからね。
そんな要素もぜひ、ゲームに採り入れてくださいよ(笑)。
貴重なご意見、ありがとうございます。では、この選手を選びたいという選手はいますか?
- 中畑
- 先発投手ならアテネで一緒に戦った、カープの黒田博樹。
彼は「自分が最高の力を出せるようにするための努力をする、それが当たり前だ」という姿勢を、
無駄口叩かず見せてくれる選手なんですよ。
彼がいることが無言の教材となって、チームにいい影響を与えてくれる。絶対に妥協しないしね。
投手ってすごい孤独なポジションですよ。
他の守備位置ならまだ助け合うこともできるけど、マウンドの上はそうはいかない。
だから相当の精神力が必要なんです。一本の大きな柱、投げればしっかり試合を作り、すべてを任せられる。
あれこそがエースですよ!
ではクローザーでは誰でしょう。
- 中畑
- 中日の岩瀬仁紀。とにかく強靱ですよ、心も体も。
入団した99年から、毎年必ず50試合以上を投げている。
先発と違って上がりはないし、彼は中継ぎもやっていたから、試合中に何度も肩を作ったり、待機をしたり、オレら野手には考えられないほど精神的にも過酷な仕事を、ケガすることなく続けているんです。
阪神の藤川球児も勢いがあるし、真っ直ぐだけで三振が奪える素晴らしいクローザー。
岩瀬ぐらい長年やれるのか、これからが楽しみだなぁ。
続いて打者です。
- 中畑
- 兄貴 だね。阪神の金本知憲。
人柄もいいし、素晴らしい選手ですよ。
人間にはみんな、ドラマがあるじゃないですか。その生き様が見えてくる選手って、オレは大好きなんだよね。
簡単にユニフォームを脱いじゃうような選手もいるけど、金本は少々のケガをしても試合に出る。
しかも出るだけでなく、結果も残す。ああいう選手こそ、本物のリーダーですよ。
同感です。金本選手は外野手なので、捕手、内野手でもお願いできますか?
- 中畑
- 内野はソフトバンクの川崎宗則がいいな。
体は小さいけど、大きく見せるようなプレー、弾けた動きをする選手。
野球を楽しんでいるっていう、表現力を持っていますよ。
それでいて、とにかく野球に対して真面目でね。
ファンを呼べるし、本当の意味での球界の伝道師になれる存在だと思ってます。
捕手は、阿部慎之助……。
ようやく巨人の選手が出ました。
- 中畑
- 捕手は本当に難しいんですよ。
抑えれば投手がいい、打たれれば捕手が悪いって言われるしね。
慎之助もまだまだという部分もあるんだけれど、成長してきてる。
これからさらに、大きくなるでしょう。
ジャイアンツの選手をこういうときに挙げるのは簡単なんだけど、続けて結果が残せていないよね。
だから優勝できていないんです。
球界を代表する選手として、常に出場していた巨人の選手は、やっぱり松井秀喜だったでしょう。
その松井が抜けて……というのはありますよ。
12球団の垣根を乗り越えて、みんなから信頼される、認められる選手というのが、真のスーパースター。
そういう意味では、まだいまのジャイアンツからは、そうそう人は選べない。
今年は交流戦でも好調で、期待が持てそうですね。
- 中畑
- やっぱりそれは、小笠原道大と谷佳知の加入ですよ。
苦しいときに、あの2人がそれを打ち破ってくれた。
交流戦の過去の苦い記憶を、払拭してくれたんです。
それが相乗効果となって、他の選手にもいい影響を及ぼしてますよ。
だから今年は期待できるかなと思いますね。
では最後に、この「野球つくONLINE」に、中畑さんのチームを参戦させたいと思います。いかがですか?
- 中畑
- うん、北京五輪に向けて、オレが選んだ最強チームを結成しようか!みんなの挑戦、受けて立つよ!
- 中畑 清(なかはた・きよし)
- 1954年1月6日福島県西白河郡矢吹町出身。
安積商、駒沢大を経て、77年ドラフト3位で巨人入り。
3年目の79年にレギュラーの座をつかみ、以降巨人のリーダーとして大舞台になるほど熱く燃え、
その活躍ぶりで 絶好調 が代名詞となった。
89年に現役引退。
1248試合で打率290、171本塁打、621打点。
アテネ五輪ではヘッドコーチとして全日本を率い、銅メダル獲得に導いた。
